総理大臣の選出プロセスには公正さが必要だ

|
 国民が選挙で国会議員を選出し、その国会議員が内閣総理大臣を選出する。一方、アメリカの大統領は選挙で直接選ばれる。どちらが民意を反映しているとか、それぞれの制度の良し悪しを比較されることは多いが、日本の総裁選のプロセスは本当にそのような間接民主主義になっているのだろうか。

 先日、突然の安倍総理の辞任を経て福田新総理が選出されたが、その選出プロセスを見ていると1つの疑問が出てきた。その疑問とは派閥による密室談合ではなく、「自由民主党総裁選挙」という曖昧な選挙システムである。
 総裁選は自民党の代表を選ぶ選挙のため、選挙管理員会も関係しない、いわば私的な選挙である。社長を決める役員会や学級委員を決める学級選挙と同列の透明性・公平性しか担保されていない。たとえ買収したとしても法で罰せられることはない。そんなプロセスを経て事実上の内閣総理大臣が選ばれている。
 しかも、総裁選では党員という年会費を払いつづけている自民党支持者も投票に参加している。仮に自民党所属の国会議員だけで総裁を選ぶのであれば、それはそれで国民が選挙で選んだ代表がその代表を選ぶ形になるのだが、そこに会費を納めている支持者が加わるのである。
 要するに、内閣総理大臣を選ぶプロセスに自民党員という「選挙で選ばれていない人たちの意見」が大きく反映されているということが問題であろう。報道では地方票とか民意と説明されている党員意識は本当に民意といえるのだろうか。

 自民党の総裁を選ぶのに党員の声を反映するのは良いと思うが、自民党支持者以外の代表でもある総理大臣を選ぶのに党員の声を反映させるのは、かなり問題がある。自民党総裁=内閣総理大臣となる今の体制下では、総裁選ももう少し慎重に制度設計する必要があるのではないだろうか。

このブログ記事について

このページは、が2007年9月26日 19:09に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は「いつのまにか風力発電が人気」です。

次のブログ記事は「停止ボタン「■」は旧メディアの名残。メーカーの哲学がブランドに。」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。

Powered by Movable Type 6.0