特定財源維持ありきの国交省案を(あえて)控えめだと考えてみる

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 11月15日の社説は朝日・毎日・読売・日経・産経の5紙全てで道路整備の中期計画に関する批判論調が展開されていました。暫定税率を前提とした税収と整備に必要な予算額が一致しており、余剰分が出ない、すなわち一般財源にまわすものは残らない。今の時代に何を考えているのか?という論調で揃っています。

 確かに過去5年間の道路投資額の平均×10年分=68兆円という見積もりはあまりにもぴったりすぎて「落札額は予定価格の99%でした」みたいな感じもしますが、しかし、少し考えてみればこれは“控えめ”な見積もりだと考えられます。
 もちろんこの見積り額の妥当性については詳細を個別に見ておらず、何とも言えないので賛否は置いておくとして、国土交通省のおかれた状況を考えたら“控えめ”と言える、ということです。
 当然ながら、68兆円が妥当だとは思っていません。メチャクチャだと思いますが、出るべくして出てきた数字だと考えているだけです。

 なぜなら、もし仮に「真に必要な道路・40兆円」と発表したとすれば、今やっていることの1/3は必要じゃないことをやっていると言うようなものだからです。全て必要で重要なことだという前提(建前)があるので、抜本的な技術革新があったなど何かしらのエクスキューズがないと、減額することは自己矛盾につながります。
 
 逆に、私が道路族なら「真に必要な道路を積み上げたら80兆円になりました」とぶち上げ、今でも十分に手が回っていないと主張し、妥協点として現状キープを獲得するような戦略をとると思います。そういう意味で“控えめ”と受け止めました。

 今回の問題は、そういった事情を持つ組織に積み上げを任せた政治の判断が大きいと思います。また他に相見積を取れる機関が無いことも原因かもしれません。各都道府県や市町村からも見積もりを取って合算し妥当性を検証するなど、別の角度からのアプローチも必要かと思います。(さすがにゼネコンに見積もりを出させてもしょうがないでしょうけど・・・)
 本当の改善を望むのであれば、一般財源化の骨抜きに眉をひそめるだけでなく、制度の不備も是正する必要があるのではないでしょうか。今回の5紙の社説では、制度問題にまで言及している毎日が一番しっかりしているように感じました。

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このページは、が2007年11月15日 12:29に書いたブログ記事です。

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