ポアンカレ予想を風船で解決?

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 ちょっと前ですが、NHKスペシャルでポアンカレ予想に関する特集をしていました。その中で位相幾何学(トロポジー)という一風変わった概念が紹介されており、面白い人がいるもんだと関心しました。
 というのも、どうやらトロポジーでは物の形を粘土のように考えて、穴の数で区別するというのです。例えば、お皿は粘土のように丸めていくと球になりますが、コーヒーカップは取っ手の部分に穴があいているからドーナツ状になる。やかんの蓋も空気抜きの小さな穴があいているから、丸めていくとドーナツ上になる、だからコーヒーカップとやかんの蓋は同じ形状と考えるとか言うのです。
 メガネのフレームは丸めていくと8の字型になって穴は二つ、ボーリングの玉は穴が3つのように思うけど、貫通していないから丸めていくと球(穴は0個)、というような考え方がそもそも面白かったのですが、さてそれでは宇宙はどんな形?穴が0個?1個?それ以上?ということを考えてみるのがポアンカレ予想を解くというイメージでした。

 そして番組内では、宇宙の外から見たら球なのかドーナツなのかわかるかもしれないけれど、その内側にいてその形を知るにはどうしたらよいか?と問いかけ、その一つとして長い、とてつもなく長いロープをロケットにつけて宇宙をぐるっと回ってこさせ、ロープを回収する、それがどこにも引っかからず回収できたら球と考えても差し支えない、といった説明をしていました。もしもドーナツ状であればワッカの部分にロープが引っかかって回収できないから、ということです。枝にロープを引っ掛けてブランコを吊るすようなイメージでしょうか。
 しかし、この方法ってどうも腑に落ちないんですよね。ロケットが一筆書きのようにくねくね飛んで戻ってきたら、ドーナツ上でも回収できる気がするんですよね。帰ってこなかったら少なくとも1つ以上の穴がある、という証明にはなると思うのですが、帰ってきたからといって穴が無いとは言えないんじゃないかと。無いことを証明することの難しさは「悪魔の証明」と言われるくらい困難でしょう。どうもこの方法で証明していくのは無理なんじゃないかと思いながら見ていました。

 最終的にはロシアのペレルマンという天才が微分幾何学と物理学の手法でこの世紀の謎を解き明かし、科学誌「サイエンス」で科学的成果の年間第1位に「ポアンカレ予想の解決」が選ばれたということです。解法やそのロジックはさっぱりわかりません・・・ 
 さっぱりわからないので、ロープが絡まらなかったらどうのこうのというよりも、もっとわかりやすいアナロジーが無いかなぁと考えていたところ、一つのアイデアが浮かびました。

 例えば、とっても大きなドーナツ状のチューブ中に自分が居るとして、それがドーナツ上なのか球状なのか、それとも8の字型なのか、どうしたらわかるだろうか。
 もし宇宙に0とか1という形状があるとして、その中で大きな風船を膨らませます。月だろうが星だろうがどんどん押しのけていく破れない大きな風船です。風船が外壁(があるとして)に達っするまでパンパンに膨れ上がったとき、もし宇宙が球だったら風船も球に膨らむはずです。
 もしも宇宙がドーナツ型なら?風船は穴の部分を回りこんで膨らむけれど、穴の部分で引っかかってU字型に広がり、どこかで必ず風船の外壁どうしがぶつかる箇所が1箇所あるはずです。やかんの蓋のように小さい穴だったとしても。
 もしもめがね型(穴が2個)だったら?外壁のは2箇所で衝突するはずです。おっ?このロジックで行けば、外壁どうしが接触している数が穴の数に一致するではないですか!100万ドルいただき!?

 お題の「n 次元ホモトピー球面は n 次元球面に同相である」という意味がさっぱりわかっていないので解決に近づいたのかなんなのかもサッパリですが、なんとなく宇宙の形を考えることができたような・・・少なくとも頭の体操はできたと思います。
 ま、宇宙の果てで風船に壁があるか無いかをどうやって調べるのよ?という問題が残ってますけど。体積から予想される表面積と実測値(!)の不一致を調べるとかかな・・・


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このページは、が2007年11月13日 21:12に書いたブログ記事です。

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